サルコペニアとは

筋肉の量が減少していく老化現象のことです。25~30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行します。筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進んでいきます。

主に不活動が原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。

サルコペニアは、広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの抗重力筋において多く見られるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になり、放置すると歩行困難にもなってしまうことから、老人の活動能力の低下の大きな原因となっています。

筋力・筋肉量の向上のためのトレーニングによって進行の程度を抑えることが可能ですので、歳を重ねる毎に意識的に運動強度が大きい運動(レジスタンス運動)を行うことが大切です。

頻繁につまづいたり立ち上がるときに手をつくようになると症状がかなり進んでいると考えられ、積極的にトレーニングを行うことがその後の生活の質的な安定に大いに役立ちます。

特につまづきは、当人や周囲が注意力不足のせいだと思い込んでいることが多いため、筋力の低下が原因と気付かない場合があり、注意が必要です。

地域住民を対象とする国立長寿医療研究センターの調査では、筋肉量減少者は850万人、筋力低下者は1000万人、身体機能低下者は350万人を超えるとされ、AWGSのサルコペニア診断アルゴリズムを用いて有病者数の推計を行った結果、男性で132万人、女性で139万人と推計されています。

 

《引用・参考》

  • 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
  • サルコペニアの疫学Ⅱ 幸篤武 2015.1

サルコペニアの診断

AWGS(Asia Working Group Sarcopenia)2019により、サルコペニアの診断基準が改定されました。

これまでの診断基準では、サルコペニアへの介入のためには、骨格筋量:SMIの低下をDXA法またはBIA法という特殊な装置で測る必要がありましたが、新しい診断基準では、SARC-F、SARC-CalF、下腿周囲長、による評価で初期スクリーニングが可能となりました。ご自宅でも簡単に評価することができます。

・SARC-Fとは、サルコペニアのスクリーニングツールで、5つの質問(S:力の弱さ、A:歩行補助具の有無、R:椅子からの立ち上がり、C:階段を登る、F:転倒)で構成されています。これらに関する質問に対し、「全くない」〜「とても難しい」まで0~2点で回答、その合計点数(10点満点)で評価する方法です。カットオフは、4点以上です。

・SARC-CalFは、上記に示したSARC-Fに下腿周囲長を追加することで評価します。カットオフは、11点以上です。

・下腿周囲長はメジャーなどで、ふくらはぎの一番太い周囲径を測定します。カットオフ値は、男性で34cm未満、女性で33cm未満です。もっとも簡易的な方法は、両手の親指と人差し指で輪っかを作り、その輪っかの大きさがふくらはぎよりも太ければサルコペニアの可能性は低いです。下腿周囲長がカットオフ値未満で0点、カットオフ値以上で10点です。

 

これら初期スクリーニングチェック項目(SARC-F、SARC-CalF、下腿周囲長)のカットオフ値を下回った場合は、サルコペニアの可能性が高いとされています。

 

 

初期スクリーニング項目(SARC-F、SARC-CalF、下腿周囲長)でサルコペニアの疑いがある方は、次に筋力(握力)のチェックを行います。

・握力の測定方法は椅子に座って行い、左右それぞれ2回づつ測定し、その最大値を採用します。カットオフ値は、男性で28kg未満、女性で18kg未満です。

握力チェックでサルコペニアの疑いがさらに高まった場合は、特殊な装置でDXA法による骨格筋量:SMIのチェックで確定診断を行います。カットオフは、男性で7.0 kg/㎠、女性で5.4kg/㎠です。

【重症度分類】

→サルコペニアは、低筋力+低骨格筋量 or 低身体機能+低骨格筋量

→重度サルコペニアは、低筋力+低骨格筋量+低身体機能

 

*日本老年医学会誌(2019;56:227-233)より引用・抜粋

*日本サルコペニア・フレイル学会HPより引用・抜粋